唄と踊りに込められた「人情」。プロの技が詰まった「安来節公演」を取材レポ


「安来節」の踊りに込められた意味とは?『安来節演芸館』を取材レポ
どうもこんにちは。山陰のタウン情報誌「ラズダ」編集部べーやんです。
今回は安来市にある観光施設『安来節演芸館(やすぎぶしえんげいかん)』へお邪魔してきました!
「どじょうすくい」で全国的に有名な民謡「安来節(やすぎぶし)」。
『安来節演芸館』は、年間を通して安来節の舞台公演が楽しめる施設。いったいどんな公演が開かれているのか、毎週開催されている「定期公演」を鑑賞してきましたよ。
桟敷席がある本格派の演芸ホール!
『安来節演芸館』は山陰で唯一、桟敷席のある演芸館で、公共建築賞優秀賞を受賞しています。
安来節公演はもちろんですが、実はこの演芸ホールをゆっくり見学してみたかったのも、今回取材に来た理由のひとつ!
というわけで、開演前にちょぴっと演芸ホールを見学させてもらうことに。
入場した瞬間、思わず「おおっ!」と声が漏れてしまうようなステキな空間!
木の温もり、日本古来の風情、そして伝統や格式を感じさせる厳かな雰囲気。山陰にこんなステキな演芸場があるなんて・・・。
収容人数は約200名。この大きすぎず小さすぎない、ほど良いキャパシティが、昔ながらの芝居小屋のようで個人的にはGOOD!
座席部分は畳敷き、そして2階に設けられているのは桟敷席(さじきせき)。
桟敷席とは、一般席より一段高く設けられた特別席のこと。現代では椅子席が主流ですが、『歌舞伎座』などの一部の劇場では今なお残っています。
天井には和紙灯りが吊るされており、隅から隅まで日本らしい演芸場の設え。
観客席を貫いて設けられた「本花道(ほんはなみち)」。舞台に向かって左側に常設される細長い通路で、役者の登場や退場シーンでよく使われますよね。
現代では壁に面して設置されているホールが多い中、こちらは両脇に客席がある昔ながらのスタイル。
舞台との距離が近いため、演者の息遣いまで感じられる臨場感が楽しめそうですね。
ユニークなアイテム多数!演芸館に併設した土産ショップ
演芸館のロビーには、安来節の関連商品、安来名物などを販売するお土産コーナーが併設。
開演前の時間つぶしにピッタリです。
「どじょう掬いまんじゅう」や「清水羊羹」といった“ザ・安来土産”と呼べる定番をはじめ、島根県の様々な土産がずらり。
安来節グッズが並んでおり、「どじょうすくい」に使うザルや手ぬぐい、踊りに使われる衣装まで販売。
個人的に一番気になったのがザル、手ぬぐい、CD・DVDなどがセットの「どじょうすくい名人 6点セット」(1万1000円)。
こ、これがあれば演者になり切れる!いや、それどころか独学で習得できる・・・!
こちらは「どじょう掬いまんじゅう宣伝大使」のきゅっきゅちゃん。
演芸館のマスコットガールだそうです。なんてステキな笑顔。また機会があればお会いできると良いなぁ。
最後に店内の全景を撮影しようと、カメラをのぞき込むと・・・。
あ、あれ、誰が立っている・・・!?
きゅ、きゅ、きゅっきゅちゃん!
いつの間に!
せっかくなので、入口の撮影スポットで記念撮影。とても明るくてやさしい方でした!
「どじょう掬いまんじゅう宣伝大使」を務めながら、「安来節定期公演」の舞台に立つきゅっきゅちゃん。
日本の大道芸のひとつ「南京玉すだれ」を披露するそう。これは楽しみ!
見どころ満載!安来節の定期公演
いよいよ「安来節 定期公演」がスタート!
公演は毎週土・日曜、祝日を中心に開催。約40分間の公演ながら多彩な伝統芸能を堪能できちゃいます。
安来節公演に先立って、きゅっきゅちゃんによる「南京玉すだれ」!
長さ30センチ程度の竹製のすだれを持ち、唄にあわせて踊る伝統芸能。すだれを自由自在に操り、釣竿、橋、しだれ柳、旗などに見立てて、次々に変化させていきます。
続いては民謡。
「安来節」のほか、隠岐の島の「しげさ節」、松江地方に伝わる「関乃五本松節」など、山陰を代表する民謡を披露。
鼓と三味線の音色にのせた節回しは軽快で、耳に心地良く、古き良き日本の伝統を感じさせてくれます。
唄や踊りや潜む「もの哀しさ」こそ真の魅力
島根県の代表的な民謡である「安来節」。
元禄の頃に積出港として栄えた安来市では、諸国の船頭たちの間で民謡や船歌などが盛んに交流していたそう。
天保年間に芸妓・おさんが唄った「さんこ節」をさらに改良してできたものが、安来節の原型なんだとか。
「安来節」のリズムは、よ~く聞いてみると、陽気さの中にどこか「哀しさ」が感じられ、素朴な人間味をまとっているのが印象的。
中でも「どじょうすくい踊り」は、ユーモラスな動きの中に、人々の生活の苦労や、悲哀を表現していると言われています。
「貧しくとも手を取り合って、笑いながら生きていこうよ」。
唄や踊りには、そんなメッセージが込められているような。ユーモアや笑いだけでなく、その裏にある温かい人情こそ、多くの人が「安来節」に魅了される理由なのかもしれませんね。
明治44年に創立された「安来節保存会」は、会長の安来市長をはじめ、なんと全国に53支部、約1800名の会員がいるそう!単独の民謡団体としては日本有数の組織なのです。
1月の唄い初め会、春のお糸まつり、資格審査会、8月には全国優勝大会があるほか、国内のみならず海外でも公演を実施。全国各地で盛んな活動が行われています。
最後は舞台で「どじょうすくい体験」!
男踊りが終わると、いよいよ公演はクライマックス。
最後はお客さんを舞台に招いて「どじょうすくい体験」(各回5名)を実施!みんなで豆絞りの手ぬぐいを巻き、大きなザルを持って、ちょこっと名人芸を体験できます。
子どもたちも積極的に手を挙げて参加していました。鑑賞するだけでなく実際に舞台で体験すると、思い出深い時間になるハズ。
年間を通して安来節の舞台公演が楽しめる『安来節演芸館』。
土産ショップを回って約40分の公演後を楽しむだけでも、想像以上の満足感。約1時間で伝統芸能の魅力を充分に堪能できます。
観光の方はもちろん、地元の方も週末にぜひ気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
公演日 | 土・日曜、祝日 ※平日は20名以上の団体予約可 |
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公演時間(1日2回公演) | 【第1回】11:20~12:00【第2回】13:20~14:00 |
安来節鑑賞料金 | 【個人】大人1000円、小中生500円【団体20名以上】大人800円、小中生400円 |
安来節演芸館
ヤスギブシエンゲイカン
電 話:0854-28-9500
住 所:島根県安来市古川町534 [MAP]
営 業:10:00~17:00
休 み:火曜(祝日の場合は翌日休業)
情 報:HP
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この記事を書いた人

タウン情報ラズダ編集部
編集部べーやん
山陰のタウン情報誌「ラズダ」の編集者。出雲市佐田町出身。
新しいラーメン屋には行かなきゃ気が済まないィィ性格(だそう)。
超ローカルYouTubeチャンネル「Lazuda TV」の立ち上げから、企画・編集・出演を務めています!
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