AIと暮らすほど、言葉を選ぶ場面が増えた。子育てにも効く“言語化”の話

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

言葉で伝える時間が増えた今、子どもと一緒に磨きたいこと

■藤原さんの育児学Vol.144■

みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。

年賀状が激減し、代わりにLINEのやりとりに数日が潰れた年始。コロナ禍やAIなど、時代の変化を体感しますね。

20年ほど前、結婚前の妻から届いた年賀状は、毛糸や折り紙などを貼って立体的な、手の込んだ作品でした。彼女は「立体的にしたら、沢山の年賀状の中で分かりやすいでしょ!?」と。

コンプライアンスの厳しい今の世なら、重量や厚さのルールも厳しく判断されたでしょうけど、当時の郵便局はやさしさがあったのかも。

年賀状1枚にアイデアを練って、作るのにも時間をかけていたあの時代、懐かしいですね。

「言語化する力」が必須になってきた

近年、LINEの正月文章に限らず、言語化することが必須のスキルに。

新年の挨拶回りでは、顔を合わせて近況報告していましたが、今は電話さえもストレスとされ、文字データだけで意思疎通がなされる時代になってきています。

AIに質問する時も、どの単語を選び、どの順番で伝えるのか。悩みますよね。

AIとのやりとりが「考える量」を増やしている

人々がそうやって悩んで出した文章は、AIにとっては素晴らしいデータの蓄積に。

今まで人間相手には、一度発した質問を、違った言葉に変えて何度も投げかけることは、あまりなかったでしょう。

それは「相手が迷惑と感じていないだろうか?」、「しつこいと思われたくない!」といった配慮からですが、実は、意思疎通が完全には行われていなかった可能性も。曖昧さを理解し合った上での会話だったのかもしれません。

子どもに対しては、やさしく簡単な言葉を選んでいたでしょうし、大学の教授や学識者には、難しい言葉を分かったフリして聞いていたこともあるでしょう。

しかし、AIへの問いかけは、自分が欲する答えにたどり着くまで、何度も文章の構築を考えて投げかけますよね。

曖昧な頭の中を言葉で“具体化”していく

例えば、曲名を思い出せない時。ララララ〜♪と歌って聞かせてもAIの答えが違うと、その曲が使われていた映画の名前を伝えたり、「平成何年の」、「男性で」、「北海道出身で~」など、思い出せる情報を次々伝えたりして、AIが答えを出せるまで繰り返します。

画像生成でも、写真データをどのように加工するのか、アニメ風にするのか、時代背景はどうするのか、何と合成するのか。細かく伝えることに頭を悩ませます。

これらの行動は、昔言われていた「AIが発展すれば、人間は考えなくなる」、「コンピューターが考え出したら、人間はバカになる」という想像とは真逆。実は“人間がより考える”ようになったと思いませんか?

上の“歌”の話は、検索スキルの問題です。
画像生成の話は、創造力が必要です。

どちらも、頭の中の曖昧な部分をいったん言語化し、ハッキリさせるという作業を、AIというフィルターを通して行っています。

会議の長文データを要約させたり、論文を短くまとめたりといった作業も、「会議後に何となく分かった気」になっていた内容を、しっかり分かるようにしたり、論文の内容を他の人に伝えやすくしたり。曖昧さをなくす方向に使われています。

AIは、分からないことを教えてくれるのではなく、《ぼんやりとしているものを具体化してくれる存在》であるわけです。その過程には現状、人間が言葉で指示や情報を与えなければなりません。

子どもたちに教えたいのは「複数のアプローチ」

当コラムは育児に関して書いているので、「これから子どもたちに教えたいスキル」の方向で言えば、《ひとつの課題に対して複数のアプローチを考える能力》なのだと思います。

過去、子どもたちの学力を判断するためのテストは、課題に対して答えがひとつの一問一答でした。しかし、これからは「課題に対していくつの答えを考えられるのか?」という能力が必要になってくるでしょう。

国語の文章題の回答も、一言一句間違わずに抜き出さないとマイナスになりますが、そんな能力は必要なくなってくるかも。

計算式も、今まで公式を覚えて時間の短縮で回答へのアプローチをしていました。ですが、AIは答えを一瞬で解くので、公式を使わずに解く方法を考えられる方が、数学の理解を深めることになるでしょう。

家庭の中にも「考える練習」は転がっている

家庭においても、例えばママが「晩ご飯の用意をして!」と言った時。

お皿を出す、箸を並べる、コップを並べる、ほかの部屋の電気を消す、先にトイレを済ます、家族を呼びに行くなど、いろいろな要素があります。

お兄ちゃんが食器を並べていたら、自分はお茶を用意するなど、ほかの方法でママの指示を叶える行動を探す力。それが、AIに考えさせるスキルと重なってくるとは思いませんか?

注意したいのは、「お皿を出すのはお兄ちゃんの役割で、片付けるのが妹の役割」という風にルールにしてしまうと、ほかの作業を探さなくなってしまうこと。役割分担を決めないことが大事。

悩みの“言い換え”が育児のお悩み解決の糸口になることも

ほかにも、お母さんの「ウチの子は乱暴で困っています」という悩みの表現が、

「物を投げて家具が傷ついて困る」
「投げた物が人に当たって怪我をしたことがあって心配」

といった風に言語化スキルを得ると、問題は“投げる”行動にあり、子どもがなぜ投げるのかを理解すること、投げる行動は肘や肩を成長させる段階の表現だと学ぶことに繋がるかもしれません。

または、「走り回って危険です」、「兄弟喧嘩で手が出て困る」など、ほかの言語化方法を使えば、

「家具の配置を変えましょう」
「親を独占できる時間を作れば喧嘩が減ります」

と回答を得られるでしょう。

単に悩みを具体化するだけではなく、曖昧な表現の中に隠れているほかの課題を言語化し、探す力があれば、問題解決の糸口が見えてきます。

ウソが増える時代だからこそ、多様な視点を

インターネットの発展、AIの進化によって、世界中で過去に前例のない規模で、ウソが蔓延する世の中になってきています。

ウソを見抜く力、ウソを発信しないモラル。被害者にも加害者にもならないためにも、多様な視点で物事を考える力を鍛えていかないといけませんね。

ということで、AIが実践ベースで隆盛した2025年を終えて、2026年最初のコラムでした。

Z世代の次のα世代が主役となってくる今年。さて、どんな一年になるやら。楽しみですね。

2026年もよろしくお願いいたします。

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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