知らないと損する!?文化事業の「助成金」の受け方【第1回】『しまね文化振興財団(島根県)』

編集部べーやん
編集部べーやん

助成制度「しまね文化ファンド」を知ろう

地元を盛り上げるために何か事業をやりたい!という時に、資金調達は大きな課題のひとつ。コンサートや演劇公演をするにしても、施設利用料、広告PR物の制作費など何かと費用がかかります。

そんな時に検討したいのが「しまね文化ファンド」という助成制度。皆さんが自ら企画し、主体者となって行う文化事業を資金面でバックアップしてくれます。

とはいえ、どうすれば助成金を受けられるのか分からない人も多いはず。今回は「しまね文化ファンド」の仕組みについて教えてもらうべく、島根県松江市にある『しまね文化振興財団』の前島頼子さんに直接お話を伺ってきました。地元文化事業がいっそう活性化するためにも、資金面のお悩み解消に少しでもお役に立てればと思います。

第1回となる今回のテーマは「どんな団体・事業が助成を受けられるのか?」について。

助成の対象となる団体は?

―前島さん、今日はよろしくお願いします。

こちらこそよろしくお願いします。

―早速ですが「しまね文化ファンド」について教えてください。

ひと言で言うと、島根県民のみなさんによる自主的な文化事業をバックアップする助成制度です。島根県では古い歴史と共に豊かな文化が育まれてきました。こうした貴重な文化を継承しながら、新しい文化の創造も目指しつつ、魅力ある島根を創ろうと平成3年に発足したのが「しまね文化ファンド」です。島根県が拠出した22憶円を信託財産とする公益信託で、規模としては日本最大の文化ファンドなんですよ。

―どのような団体が助成対象になるのでしょうか?

助成対象となる団体は、島根県内の民間団体です。例えばサークルやグループ、NPO法人など。法人格の有無は問いませんが、非営利団体であることが第一条件です。

―県内の民間団体であっても、対象にならないのはどんな団体ですか?

「民間」といっても、いわゆる民間企業、つまり「営利法人」は対象外です。また、地方公共団体などの公的機関、学校や公民館なども対象外です。ほかに、〇〇バイオリン教室といった生業として運営されている教室も対象から外れてしまいます。

―NPOなど、非営利の民間団体が助成対象ということですね。

はい、何も後ろ盾を持たない、地域でコツコツと活動している団体を支援するのがスタンスです。

助成の対象となる事業とは?

―続いて、どんな事業が助成対象になるのでしょうか?

「以下の3つの分野に分類して助成を行っています。ぜひ目安にしてみてください。

①地域文化振興 …島根の歴史や神話・民話、文化財や風土を素材にして仕立てられる文化事業
例えば…
・地域に残る史跡をテーマにしたシンポジウム
・神話をモチーフにした美術や文芸などの公募展
・歴史を題材にした演劇や音楽などの公演事業 など、「地域素材」がテーマのものです。

②芸術文化振興 …多様な芸術文化活動の活性化を目指す文化事業
例えば…
・音楽や演劇、舞踊、美術や書、写真など自分たちの取組みを発表する事業
・ワークショップなど体験・講習事業 などです。ほとんどの事業はここに該当するでしょうね。

③国際文化交流 …国際文化交流の推進を目指す文化事業
例えば…
・海外から団体を招き、合同で行う演奏会や舞台
・海外に赴き、自分たちの活動を発表する自主公演や、体験を目的としたワークショップ事業 などです」

―この3つのいずれかに当てはまれば、助成の対象になり得るということですね。3つ目の「国際文化交流」は、海外で実施するものでも助成を受けられるということでしょうか?

「はい。日頃、みなさんが取り組んでいる文化活動を海外で発表したり、体験ワークショップを行ったりというような事業が対象になります。益田市の「糸操り人形保持者会」がイギリスで公演とワークショップを行い、現地の方々と交流を深めた事例もあります。また、ジャズバンドが韓国のジャズフェスに参加し、学生にも指導を行ったこともあります。いずれも県などの後ろ盾が無い、民間による草の根交流ですよね。」

―助成事業の対象も広いのですね。ちなみに、ジャンルに制限などはあるのでしょうか。

「原則、ジャンルでの制限はありません。文芸、美術、音楽、演劇などあらゆるジャンルが対象で、例えば音楽の中でもクラシック音楽はOKだけどジャズ音楽はダメ、というような細かい制約もありません。神楽などの地域伝統芸能のほか、ミュージカルにヒップホップにフラメンコ、囲碁や写真、書や映像など、バラエティに富んでいます( 公益信託しまね文化ファンド 2019年度後期決定事業一覧 )。とはいえ、事業なら何でもOK!というわけではなく、もちろん助成対象は決められています」

こんな事業は助成対象外!

―3つのいずれかに当てはまったとしても、助成できない事業もありますよね。

「はい。申請団体のみなさんが自主的に企画して運営する事業であっても、招聘したゲスト中心の舞台や演奏会、借り物で行う展覧会、講師による講演会などは助成できません。なので、プロのオーケストラの演奏会なども対象外となります。自分たちが日頃取り組んでいる文化活動を県民の方々に発表する事業や、参加者を広く募集し、合同で行う事業などが対象になりやすいですね」

―他にはどのような事業が助成対象外になるのでしょうか。

「地方公共団体が主導する事業や学校行事、また営利活動につながるものや政治・宗教に関する事業などです。また、スポーツ競技事業や飲食を中心とした事業、娯楽要素が強い事業も対象から外れてしまいます。このほか、審査会で助成するには不適切な団体や事業と判断された場合は助成できません」

―県内の民間団体、県民中心の事業というのがポイントですね。ところで、自分が企画している事業が助成を受けられるかどうか、申込む前に相談することはできますか?

「もちろんです。と申しますか、できましたら、『こんなことしたいな』という段階でも構いませんので、ぜひお知らせください。対象になりそうかどうか、助成基準から外れていないか、具体的にご説明できます。もし助成基準から外れていた場合でも、可能な限り助成が可能になるためのアドバイスも行います

―アドバイスしてもらえるのは心強いですね。

「日頃、様々な事業の情報を収集していますが、助成を受けていない催しの中には、助成の対象になり得る事業も少なくありません。助成制度そのものを知らなかったり、知っているけど申込み方法や助成対象がイマイチ分からずあきらめたりする方が多いような気がします。助成金や補助金の申請は、一般的には面倒くさく難しそう、というイメージもあるでしょう。私たち事務局では、みなさんの活動を盛り上げるため、申請書の作成、事業後の手続き完了まできちんとサポートします。また、県内文化団体に関する情報提供、事業企画の相談も承っていますので、ぜひ気軽にご連絡いただければと思います」

―前島さん、ありがとうございました。次回は「助成金額について」お伺いします。

 

【次の記事】助成金の受け方【第2回 助成金額について】

【次の記事】助成金の受け方【第3回 助成申込み~事業終了までの流れ】

4/27より「2020年度後期」募集受付がはじまります!

しまね文化ファンド 2020年度後期募集

受付期間:2020年4月27日(月)~5月29日(金)当日消印有効

[事業実施期間]2020年9月1日~2021年3月31日

[助成決定予定]2020年7月下旬

 

情報は下記HPからチェックできます。また、助成申込書のダウンロードも可能です。

公益信託しまね文化ファンド

問い合わせ先

(公財)しまね文化振興財団 公益信託しまね文化ファンド事務局 担当:前島頼子

シマネブンカシンコウザイダン

電 話:0852-22-5500

事務局所在地:島根県松江市殿町128 県庁東庁舎(文化国際課内)

情 報:HP 「しまね文化ファンド」助成事業HP

※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、最新の情報は店舗・施設のHPやSNSを確認するか、直接お問い合わせください。

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この記事を書いた人
編集部べーやん

タウン情報ラズダ編集部

編集部べーやん

山陰のタウン情報誌「ラズダ(Lazuda)」の編集長。出雲市佐田町出身。
入社以来、ラズダを作り続ける編集スタッフ。新しいラーメン屋には行かなきゃ気が済まないィィ性格(だそう)。
超ローカルYouTubeチャンネル「Lazuda TV」の立ち上げから、企画・編集・出演を務めています!

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