親離れ・子離れで大切なのは距離感。愛すべき存在だからこそ事前に知っておこう【藤原さんの育児学Vol.44】

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

春は別れと出会いのシーズン。今回は「親子関係」についてのお話

4月になり、新年度がスタートしました。この時期は転勤や引っ越し、進学や就職でのひとり暮らしなど、お友達や家族と離れての新生活を始めている方も多いことでしょう。

また一方で、学校などを卒業し地元に帰ってきて、家族と再び同じ屋根の下で生活する方もおられますよね。家族が一緒に過ごせる幸せ、またはひとりになった自由、良いか悪いかは別として、春は人間関係を再考する時期かもしれません。

そこで今回は、親離れ・子離れについて書きたいと思います。

子どもにとっての最初の親離れは保育園・幼稚園の通い始め

中国のことわざで「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」という言葉がありますが、似た言葉に「可愛い子には旅をさせろ」とか「愛の鞭(むち)」なども近い意味を持つかもしれません。

しかし、世の中の汚さ、辛さ、人の非道な行動や犯罪を知っている親としては、簡単には子どもを社会に預ける気持ちになれないですよね。

子どもにとって人生最初の親離れは、保育園や幼稚園になります。

新年度が始まる今の時期は、毎年ママ・パパと離れたくない子どもたちの鳴き声が幼稚園・保育園での朝の風物詩となっています。近年、脳の研究が進み、親の夫婦喧嘩を見たり、親から強く叱られたりといった経験によって、脳が萎縮、歪な形に育つ事が分かってきました。

こういった論文を目にする度、ママ・パパと離れたくなくて大泣きしている子どもの脳への影響はどうなのかと心配になります。

しかし、前出のことわざのように、「預ける」という行為は、子どもの成長を願えばこその一面もあります。

この世の終わりかと思うほど大泣きしていた子どもたちも、多くの場合1~2週間で新しい環境に慣れていき、お友達と会うことを楽しみにするようになっていきます。

最初は罪悪感を感じていたママやパパも、気持ちが落ち着く瞬間ですね。

子どものSOSを見逃さないよう気をつけて

ですが、中には入園から1~2ヶ月経っても、毎朝泣き叫ぶという子どももいます。

そういった相談が入る5月の連休明け。私のその時のアドバイスは「園を変えましょう」というハードルの高い提案となります。実際過去には数名、転園を手伝った家庭があり、その子どもは転園した途端に喜んで登園するようになりました。

なぜ転園を提案するのか?それは、泣き叫ぶ理由が“ママ・パパと離れたくない”ではなくなり、“園に行きたくない”となっているからです。園を嫌がる、怖がるという行動は、自分の身を守るためのSOSの可能性が高く、時間が解決できない問題があるのです。

日本は今、待機児童対策で保育士や幼稚園教諭を大量に必要としていますが、資格条項があるために経験も知識も浅いペーパー保育士が増えているのも実情です。

子どもは、一度嫌いになると、その人物を好きになる事は希です。小さな子どもたちの場合、新生活に慣れる事ができなければ、親として守ってあげる必要があります。

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大人になった子どもたちとの関係性はどうする?

では、新社会人や進学など大きくなった子どもとの関係はどうでしょう?

近年、私の元には、保護者から子どもの就職後のトラブルに関する相談が増えてきています。経済界の知人からは、雇った若者が数日や数ヶ月で職場に来なくなった、突然電話で辞めると言われた、という話も耳にするようになってきています。

泣き叫ぶことがない年齢になってからは、鉄を鍛えるような辛い経験はしない方がいい、合わないと感じたら一刻も早く判断した方がいい、という風潮になってきているようです。

「息子(娘)が会社に行きたくないと言っている。」という保護者からの相談は毎年何件も寄せられます。

私が子どもと面識がある場合、直接子どもさんと連絡をとって話を聞くのですが、多くの場合そこまで深く悩んでおらず、自分で対策を考え、新しい環境に慣れるために耐え時であることを理解しています。

もちろん、悩みを隠そうとしている場合もあるでしょう。しかし、これらは子と会社の問題ではなく、子離れできない親の問題が隠れていると感じます。

ひと言で言えば、対応が幼児期の子どもと同じなのです。

大人になった子どもたちへは聞き手に専念⇒親離れの第一歩

新生活を始めた子どもが心配なのは、親なら当然ですが、成人になり自立していかなければならない子どもとの距離感には注意しなければなりません。

少し前にメディアで「友達親子」という言葉が流行りました。もっと昔には「マザコン」という母親と息子の特異な関係性が取り上げられた事もあります。昔からある問題では、嫁姑問題というものもありますね。

これらはすべて「親子世代間」問題。日本は親が子離れできない国でもあります。

就職先での悩みを聞き出し、早急に辞めさせたり、夫婦喧嘩に親が出てきて離婚を勧めたり。アドバイスを通り越して行動してしまう親が増えてきた感じを受けます。

こう書くと、「親が子どもを心配して何が悪い」と言われそうですが、子どもを信頼できていない行動であり、子どもの自立を阻害してしまう事に繋がります。

新生活が始まる春、いろいろ手助けしたい気持ちは分かりますが、保護者の方には聞き手に専念していただきたいと思います。

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どんな動物も植物も親の手を離れていきます。持続可能な社会を作るためにも、子どもが幸せに暮らすにも、社会に羽ばたかせてあげましょう。

私は、日本の義務教育が学校に行かせる義務となっている意味のひとつに、子を家に囲ってしまう親からの解放があると考えています。

今回は、親離れ子離れについて書いてみました。私は妻と来たるべき子離れについて時々話をします。

みなさんも、その時がくる前から家族で話してみてくださいね。

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店は正に秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

【HP】:http://reindeer.co.jp/

子育て・育児地元ライター連載コラム教育