生後8~9ヶ月の赤ちゃんの発達まとめ。夜泣き・後追い・遊び・姿勢まで徹底解説
生後8~9ヶ月の赤ちゃんの成長と発達の特徴
みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。今年の秋は寒いくらいの気温ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
今回は、3回前のコラムに続きまして、生後8~9ヶ月ごろの赤ちゃんの発達について、独自の視点で解説していきたいと思います。
母子手帳や育児書などには、成長曲線で健康面・体格面の成長が書いてありますが、ここでは、それらとは違う角度から赤ちゃんの発達を見ていきたいと思います。
生後8ヶ月ごろに始まる、お母さんの変化と負担のステップ
当コラムでは以前に「生後8ヶ月の壁」という話題を取り上げたことがあります。
生後8ヶ月ごろには、赤ちゃんの成長に加え、お母さんの身体の変化や家事の作業が増えるステップに突入。
みなさんの中で、「最近、育児の悩みが増えてきたな」と感じられている方がいらっしゃれば、これまでのコラムも参考にしていただければと思います。
赤ちゃんの運動と生活リズムが大きく変わる時期
では、赤ちゃんの様子を見ていきましょう。生後8ヶ月ごろになると、ずり這いでの移動が始まり、離乳食が日に2回、3回と増えていく時期。
身体を自分の意思でコントロールすることが始まり、哺乳瓶を自分で持ってミルクを飲む赤ちゃんも出てきます。その姿に、ついほっこり・・・。
一方で、食事が増えたり、ミルク量が増えたりすることで、便が臭くなってきて、オムツ替えの負担が増加。私にとって一番の負担はオムツ替えでした。
目に入れても痛くない我が子であっても、1000回以上オムツ替えを経験しても、こればかりは慣れませんでした。お風呂の中でウンチされたり、服の上でウンチされたり・・・。
今では良い思い出ですが、当時は中々大変でした。
この時期から増える夜泣きの相談
育児相談が増えるのも、この生後8ヶ月ごろから。その理由として一番多いのが「夜泣き」。このころから増えていき、1歳3ヶ月ごろまでのママを、悩ませ続けます。
では、なぜこの時期に夜泣きが増えるのでしょうか。赤ちゃんの夜泣きの理由には、食べ物の消化やガス、空気乾燥による鼻づまりやアレルギーなど、様々な要因があります。
その中で生後8ヶ月ごろで特に多いのは「脳が記憶の整理を始めている時期」であるためだと考えられます。
記憶力の成長が夜泣きにつながる仕組み
生後6~7ヶ月ごろのコラムで、赤ちゃんの脳で記憶が始まると記しました。その後、思い出せる時間が1時間、2時間と増えていき、生後8ヶ月ごろになると「1日の出来事を翌日に思い出せる」ようになっていきます。
具体的には、おもちゃの遊び方で前日の遊び方を再現したり、昨日喜んだおもちゃを今日も喜んだりと、記憶の繋がり・再現行動が見られます。昼間の経験が睡眠中に整理されることで、泣いた経験が夜泣きの形で現れます。
この段階の夜泣きは、母乳やミルクですぐ泣き止む、しばらく見守るだけで収まることも多いでしょう。記憶が翌日まで続くことで、昨日と同じ遊びや、同じ時間の食事・昼寝に意味が出てくる時期です。
《昼間の経験 → 睡眠中の整理 → 翌日の確認》
この流れが、発達段階を読み取るヒントになります。
なんでも口に入れる行動の意味と背景
生後8ヶ月頃になると、いろいろな物を口に入れようとする行動が増加。髪の毛や小さなゴミを見つけ、掴もうとする行動が出てくるでしょう。
これは、白黒でぼやけて見えていた世界から、ピントが合うようになり、細かい物まで見えるようになった証拠。さらに、色の識別も始まってきたサインです。
口に入れる行動は、口内への刺激で神経回路を育て、顎や舌の動き、唾液のコントロール、発声に必要な筋肉、体内で菌を覚える免疫面の発達など、多くの役割があります。本能として、落ちているものを口に入れようとするのは自然なこと。
もちろん、危険物や窒息のリスクもあるため、しっかり見守りは必要です。
手・足・耳の発達が伸びる時期
身体の神経支配が広がり、太ももを揉むと喜んだり、手のひらへの刺激を求めて机を叩いたり、指を噛んだりする行動も。
泣き声も高音域が増え、これは耳の発達が進んでいる証拠。高音域は空気の振動数が多く、情報量も増えるため、音の方向を判断したり、物質の違いを聞き分けたりする力が育っていきます。
赤ちゃんがどのくらいの音域の声で泣いているか、声の大きさだけでなく、低音なのか高音なのか、繰り返しがあるのか、変化があるのかなどによって、発達段階を推測できます。
ちなみに、保育士さんや近所のおばあちゃんなどが、赤ちゃんに声をかける時に高い声になるのは、赤ちゃんが高音を好む傾向があるためで、これを“マザリーズ”と言います。
人見知り・後追い期の意味と背景
生後9ヶ月ごろになると、後追い期に突入。人見知りや「ママ以外には懐かない」行動が出てきます。泣き声がさらに高い音域になり、唇を震わせて唾を飛ばすなど、口の動きも複雑に。
人見知りは、これまでの“ママ・パパだけの世界”から一歩進み、「世の中にはいろいろな人がいる」という認識が生まれてくるサイン。
赤ちゃんは「ママにくっついて学びたい」、「ママを基準にしたい」と感じる時期で、ママを“成長の基準”として形作ろうとしている段階です。
生後9ヶ月からの模倣行動の始まり
生後9ヶ月ごろから「ママの行動をマネする」姿が見られるようになります。ママがさわる鍵、スマホ、充電器、テレビの画面などなど。触って欲しくないものほどマネしたくなるもの(笑)。
赤ちゃんの見ているところでは、さわって欲しくない物には、できるだけさわらないようにした方が良いでしょう。親がさわらなければ、その段階では興味を持たないことも多いです。
逆に、「赤ちゃんがおもちゃで遊ばない」ケースの背景には、親がおもちゃをさわっていないことがほとんど。親が遊んでいれば、ハンカチでも新聞紙でも、赤ちゃんは興味を示します。
この時期の育児のコツは「お手本を見せること」に尽きます。
食事のコツは“見せる→与える”の順番
生後9ヶ月ごろ、多くの家庭で離乳食は3回食に。この時期に大切なのが、ママが食べる姿を見せてから赤ちゃんに食べさせること。
赤ちゃんは「ママが食べたものは食べる」、「ママが食べていないものは食べない」と学びます。そのため、落ちている物を口に含んでも、飲み込まずに戻すなどの判断ができるようになります。
ちなみに、私の妻はニンジンが嫌いなのですが、食べる“フリ”をして赤ちゃんに見せていたら、我が家の子どもたちは全員ニンジン好きになりました。
夫の帰りが遅いからと、赤ちゃんだけ先にご飯を済ませる家庭もあります。ですが、可能な範囲で「一緒に食べて見せる」ことによって、食事の悩みは減っていくと思います。
遊びを通じた“考える力”の芽生え
遊びの面では、動く物を追う行動が本格的になります。目で追うだけだった段階から、手が出て、足が動いて、さわろうとするようになり、それがずり這いやハイハイにつながっていきます。
また、人生最初の“考える行動”も見られるようになります。例えば、小さなおもちゃを右手に1個、左手に1個持たせて、さらにもう1個渡してみてください。
- そのまま3個目を取ろうとするのか
- 1個を落として新しいおもちゃを取るのか
- 両手のおもちゃを全部落とすのか
- 落としたおもちゃを目で追うのか、追わないのか
こうしたさ細な行動が、赤ちゃんの発達を見極める大切なヒントに。
両手で持ったおもちゃを“カチカチ”と打ち鳴らしていたら、それは手に刺激を与え、鍛えているサイン。
指先を動かすことは、大脳への直接的な刺激にもつながると言われています。
赤ちゃんが指先を使っていると感じたら、ぜひ続けて見守って欲しいですね。
つかまり立ちが始まる頃に意識したい“姿勢”
運動面では、つかまり立ちが始まる、早い子では歩き出すこともあります。この時期、特に意識して欲しいのが「姿勢」。特に、重心がどこにあるかはとても重要です。
立ってバランスが取れるようになったということは、頭蓋骨の中で脳がある程度固定されるくらい容量が満たされ、そこからバランスを司る三半規管が発達してきた段階だと言えます。
この時期は、ソファやベッドからの転落など、事故が増える時期でもあります。一瞬も目を離せない月齢に突入します。
しかし、「早く歩かせたい」という気持ちから、歩行器や速度調整機能のない手押し車を使う家庭も。これらは前傾姿勢やつま先立ちを誘発し、重たい頭を支える重心が崩れやすくなります。
正しい姿勢のイメージはキューピー人形。かかとでしっかり立ち、お腹がぽっこり出て背中が伸びている姿勢が理想的です。
正しい姿勢で立てる子は、その場でじっと立って遊べます。逆に、重心がずれたまま歩くよう促されると、常に動き回ってしまったり、じっとできなかったり。これは“発達障害では?”と誤解されることもありますが、姿勢による影響である場合も多いのです。
私は、赤ちゃんの足の裏を“こちょこちょ”して、笑うようなら歩かせて良いと判断しています。
笑うということは、足裏まで神経支配が整ってきているサイン。それまでは、立つ・伝い歩きなど、赤ちゃんが“自発的にできる範囲”を大事にして欲しいと思っています。
まとめと次回予告
ほかにも書きたいことはありますが、今回はこのあたりで切り上げたいと思います。続きは次回「生後10ヶ月の発達」についてのコラムでご紹介しますので、お楽しみに。
なお、記載内容は弊社「木のおもちゃレンタルプログラム“もくレン”」のお客様データの統計をもとに、平均的な発達として記載しています。有料プログラムということもあり、育児意識の高いご家庭が多く、一般的な成長より早い傾向があることを補足してお伝えしておきます。
季節柄、インフルエンザなどの流行や、寒暖差で体調を崩しやすい時期。みなさんご自愛ください。そして、秋の味覚がおいしいからといって、食べ過ぎにもご用心くださいね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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